ミンダナオ訪問

 
 ここ5年、フィリピンに、英語教師のみなさんと出かけている。いつも10名以下の小規模なツアーだ。昨年は、私とコーディ ネータの福田さんのほか、4名であった。かえって、4人くらいの方が、動きやすかったので、濃いビジットになった。
 今年は、7月中旬になっても、参加者がなかったので、出かけないことにしよう かとも迷ったが、それなら、事前調査のつもりで、ミンダナオに行ってみることにした。ミンダナオ島は、マニラからさらに2時間南にある。スペイン統治時代 からの、大プランテーションがある。また、戦前、戦中は、麻の生産に、日本人が入植していた。フィリピンの最も暑い時期は、4月、5月なので、この時期は すごしやすい。マニラは、台風が心配だが、ミンダナオには、台風はこない。西部は、イスラム教徒が多い地域である。
 急きょ、これまでの縁のあった団体や関係者に、ミンダナオの平和活動のキー パーソンの紹介を求めた。すると、一様に、オフェリア・デュランテさんにお願いするように、とのことであった。オフェリアさんから、CRS(カトリック・ リリーフ・サービス)というキリスト教の団体を紹介され、平和教育活動の現場を訪問することができた。
 ミンダナオは、1970年代 から、ずっと戦火がたえない。自治独立を求めるイスラム勢力と政府軍の武力抗争は、宗教戦争であるかのように報じられているが、現実には、利権争いであ る。2000年、02、03年と、大規模な戦闘があり、そのたびに数ヶ月、何万人もの人びとが、避難生活をしいられている。武力による被害よりも、避難生 活によって、病に倒れる場合の方が、おおいのだという。
 ここの司祭が、イスラム教徒の多いこの地域を駆けまわり、この地域は2003年の紛争時には、かつてのような、戦火を まぬがれている。クリスチャンとイスラムの相互理解こそが、平和教育になっている。まさに紛争予防である。ひとびとのなかに生まれた、憎悪、偏見を取り除 くには、教育の力がかかせない。相対するのは、敵ではなく、戦争こそが、敵なのだと説く。きわめてささいな、抗争から、武装闘争に発展することもまれでは ない。窃盗などの犯罪をどうさばくか、捕まえて、処罰するのみでは、事は、おさまらない。地域や関係者総出で、損害をもとに戻し、人間関係を回復するの だ。警察・司法ともに人びとの努力がある。さらに、ミンダナオ島の西南部の都市・コタバト市(ピキットから約2時間)に行った。コタバト市おより周辺の州 は、イスラム自治区ということになっている。イスラムとクリスチャンが、ともに学ぶ幼稚園も見学した。
   イスラムとクリスチャンの高校生のサマーキャンプもなされている。戦火で親をなくしたストリートキッズのシェルター で、高校生らが、ボランティアをしている施設で、話しあう機会もあった。
 貧困が、戦争の火種になっているのだが、まさに人為的なものだ。資源を開発するのに、土地をとりあげられた人びともい る。物資を運ぶ手伝いをしていたら、それが、武装集団のものであって、いつの間にか、ゲリラになっていた。殺された親の復しゅうのためにゲリラになった。 などの話は、現在の話だ。もっとも日本に近い紛争と、平和への努力がミンダナオにはある。

 

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